◆2009年9月30日(wed) 通称伝書鳩の10年

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松本里美の『銅版画集&CD』制作日誌はコチラd0905

きょうも、好きなモンを書く。
ペンキ塗り
穴を掘る


10年前。穴を掘る子ども。
---こどもは、穴を掘る、どこまでも
  楽しいことだけ考えて

 ここは穴ぼこだらけだけれど、緑の大地---
(『化石を見たかい?』より)





●10年20年はアッという魔
 
ベランダに置いてある物置が日々の雨風で錆ついていく様子を、「困ったもんだ」と思いながらもわたしは20年間見続けていたのだった。おととい、散歩の帰りに外から見上げてみて「こ、これは・・・!魔の巣窟ではないか!」とハッキリと認識しまして、家に戻るなりペンキ塗りを実行した。
 その物置の中には水性、フェンス用油性の白ペンキや、ニスほかDIY用品が入っていて、すぐにとりかかれるのだ。白のフェンス用で2度塗りしたところで、錆というのはまたにじみ出てくるのだけれど、イタチごっこのようにやるしかないのだ。新しいものを買うのは、古いものを捨てる、という労力にもなるしね。物置はスッキリしたが、実をいえば、問題はその物置の上にある段ボール箱2つなのよね・・・。
 遡ること10年。当時子どもの通っていた保育園の保育士(男)さんが、ある日ニコニコしながらわたしに話しかけた。
「松本さんとこって、伝書鳩飼ってるんですね〜、すごいな〜」
「?????」
鳩飼ってないです・・・・・

 何のコッチャ、と聞いてみたら、物置の上の段ボールが濡れないようにかぶせていた(昔の)黒いビニールのゴミ袋が雨風でボロボロになり、風にパサパサゆらめいている様子が、数羽の鳩に見えていたらしいのだ。これはマズイ。と10年前に思ったんですよねー。そこで大振りのパサパサ状態のものをはがしました。でも、それがやっと6、7年前ね。4年くらいは「困ったもんよねー」と思いながらも日々洗濯ものを干しながら見守りつづけてました。そうよ、見守ってたのよ。しかし、見守っていてもコトは良くはならないのだ。
 そして、このたびようやくその下にある物置はきれいにしたわけです。ではその上の「通称」伝書鳩はいつどのようにするか。これについてはまだ手を出す気分になれない。そうこうしてベランダでしゃがんで考えていると、エアコンの室外機に鬱蒼としたわたゴミを発見してしまった。ちょうど棒をつかったオブジェが放り投げられて朽ち果てていて、オオ、これはマツイ棒とソックリ!とこそげ落とすと、おもしろいように室外機のネットの部分がきれいになっていく。こうなるともう止まらない。おとといは結構暑くて、日に焼けながら、汗かきながらすっかりきれいにしてしまった。ああ、オレはやった!オレはやった!と満足する。
 しかし、こうやってまた5年くらいたつかもしれない。通称伝書鳩が、いつしか5羽から3羽、3羽から1羽になりいなくなってくれることを祈っている。ちなみに、ストリートビューで見ても、我が家は見えませんので。もしも見えてたら、メチャメチャおかしいけどね。

●長期計画をたてる
 
そんなわけで、ベランダがきれいになったので次は部屋の中を、と思ったが、身体がだるくなったのでもうきょうはやめた。しかしきょうもココ数年やれなかったことはやった。それはソファに寝転がって本を読む、ということで、こうゆう生活をスッカリ忘れていた。個展が終わってから2冊読んだ。一体ここ数年どうゆう生活だったんだろう、と不思議になってしまう。そういえば、近所にある映画館のポスターをマジマジ見るのも久しぶりだった。江戸川乱歩特集なんてやってたんだよぉ〜〜!あしたが最終日じゃん。行きたかったイメージフォーラムのダンス特集もわたしが行ける日はもうなさそうで(というか夜の部しかないのがヒドイ)、後の祭りばかりだ。
 これから少しゆるやかに過ごすことができる。というか、そうできるように調整していたのでそうなっている。が、きょう来年の予定が一つ決まった。6月柳の頃に個展とライブをします。ライフワークとしている「柳ホテル」の一環で版画の制作と曲を作ることにしている。構想は前からだいたいできているので、長期計画で(1年もないんで普通は長期とは言わないだろうけど、最近のわたしのペースとしてはゆっくりです)やっていく予定。構想通りできれば、相当素敵な個展になるハズなのよぉ〜
 柳模様とはきっと一生つきあって行くんだろうと思います。あしたからまたドップリと・・・
 





◆2009年9月27日(sun) galleryページ更新24作品です

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●YES,IT IS.モノBOX欲しいな・・・・・
 
工房へ。きょうも刷り増しをする。インターFMがかかっていて、ピーター・バラカンのビートルズ特集。little girlの年齢範囲についてとか、面白かった。うーん、この人の選曲で聴くと今回出たリマスターのステレオ&モノ盤、欲しくなっちゃうなあ。ひさしぶりに「Yes ,it is.」聞けてよかった。わたし、これはシングルレコードで持ってるのよ。「Ticket to ride.」のB面だった。アルバムに入ってなかったから買った。でもって、これ聞いてたら、無理してレコード買ったりして、たくさん聞いてた中学生の頃を思い出しちゃって、モノボックスが欲しくなってしまった。やっぱ、この曲はいいなあ。途中の展開もキューンとなるんだけど、最後から4小節前(多分)のコードがジョンらしいキュンとなる響きになってるのがねえ・・・何十年も前の自分の部屋が一挙に蘇ってしまった。ラジオから次に流れた「Rain」でも高校1年生時代が蘇った。オープンリールのテープを逆回しにするというのがやってみたくなり、英語の授業で使うテープを逆にとりつけて遊んでたんですよ。それを教室に運ぶ係になってたのでさんざん英語の研究室で遊びまくり、ついそのままにしてしまった。次の日にわたしがとりに行く前に先生が使ってしまい、テープがブチ切れまくりまして・・・・どやしつけられました。今回のリマスターのセットについて、あまりいろんなもの見ないようにしていたのでよくわからないのですが、「Oldies but Goodies」というのは入ってないのよね。アレは何だったのか、買う気はなかったので高校1年の時にたまたま杉山コーイチのFMラジオでプレゼントがあってためにし応募したらラッキーにもあたってしまいチョー喜んだんですよ。何が入っていたのだったか、わたしは愛を持って受け入れていたので、これも邪見にせずに大事に聞いてましたよ。変なイラストのジャケットだったけど、小さくなった姿もみたいなあ。
 数週間前通販サイト、カートにまで入れておいてやっぱしやめてた。でもって、やっぱ買おうかな、とさっき見てみたらもう4万超えてるジャ〜〜ン!信じられん。来月だったらギャラが入るから迷わず買ってたのにな、残念。工房の人に、「誰か買ったら貸してくれ」と言っておいた。只とは言わないからね、ね、ね。ピーター・バラカンずるい。もの凄く宣伝してるし・・・キー、悔しい。
 

●24作品更新しました
 
ここ数日、2006年からずっと溜まりに溜まっていた版画作品を整理し、galleryページの再構築なんぞをしておりました。「British men」もだいたい整理したのですが、その前に「絡みつくカタチ」以後の作品群を一挙にUPしました。
 「絡みつくカタチ」あたりから、どんどんわたしは生活の上ではテンションがあがっていて、止まらない車のようになっていたのだけど、それと反比例して作品の内容は内へ内へと入り込んでいったような気がします。同時に音楽もたくさんやっていた時期なので、『動』の部分は音楽にささげ『静』の部分は版画にささげ・・・・ていたのかもしれない。なんてことを整理しながら感じた。

 それらを通りこして、「British men」で、身軽になった感じ。3年間ほどのわたしの心の旅を見てやってください。

載せているのは「live! together love! creatures」「Bronze & Willow」版画二人展での「in Jelly on Clouds」です。
http://www.satomin.jp/gallery/jellyclouds/index.shtml

 
では、またあした
 





◆2009年9月26日(sat) ジャン・パンルヴェを熱く語る、の巻

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きょうも、好きなモンを書く。
ジャン・パンルヴェ
ジャン・ヴィゴ
ポール・ヴァレリー


当時の潜水スタイル。魅力的だ。

海の生き物のを科学と芸術両面で撮った。

これも科学フィルム。人間がシュッと小さくなって、草むらで
生物の観察をする。




色彩もシック

顔がきれい。照明も凝っている。

クレイ作家Rene Bertrandの三人のお嬢さん。せっせと
粘土で人形を作っている。

●JEAN PAINLEVEのフィルム
 
急な予定というのがなくなったので、とりあえず締め切りの仕事を終えて、机の上で御開帳日が来るのを待ちわびていたDVD-Rにようやく手をだした。いただいていたのはもう何ヶ月も前のことなのだけど、このフランスの海洋ドキュメント映画監督ジャン・パンルヴェ(お父さんは著名な数学者で首相。医学、動物学を学んだあと映画監督に。俳優、プロデューサー。200本もの自然ドキュメンタリーフィルムを制作。どれも科学と芸術の総合エンターテイメントとなっている(とわたしは思うけど、とってもコア)。コアながらも誰もが楽しめるものになっていると思う。)のフィルムはワサワサしている時にどうしても見たくなかったので、落ち着くまでとっておいたのだった。
 去年一度このフィルムの事は書いたね。1930年頃から70年代くらいまでの海洋ドキュメントフィルムなんだけど、サイエンスというよりはアートと言った方がよく、多分関心のある人というのもその視点にあると思われる。パンルヴェ自身、どのような観点でタツノオトシゴの出産やタコの性生活やウニを撮影していたのだろうか・・・?しかも踊るようだったり、極端なズームだったり、顕微鏡内のものだったり・・・。わたしはyoutubeでこれらを断片的に見ていて、なんというか耽美的というのか肌にまとわりつくいやらしさというのか、とにかく磯辺のもの海辺のものも好きなのでツボだったのでした。
 で、そのフィルムに数年前、ヨ・ラ・テンゴが音をつけていて、日本でもライブをしたというのを聞いて、ヒックリ返りそうになった。すべて後追いで「わたしって駄目ね〜」と思っていたら大阪の松沢さんがヨラテンゴのサントラを送ってくれたのだった!本当によかったわ〜。で、とても盛り上がりまして(一部で)以後iTunesに入れて愛聴しておりました。でもって、その松沢氏が今度はパンルヴェのDVDを手にいれ、わたしにも送ってくれたのでした!この作品について話して盛り上がっているのは我々だけなので、日記でビッシリ書いても「どうよ?」な感じですが、きっとわたしの日記を読んでくれている人の中には興味ある人が数人はいるだろう!と信じております。現にわたしにパンルヴェを教えてくれた人がいたわけで、感謝してますわーSくん。
 というわけで、ここ数日はこのコアな映像を見ながらドップリと水に浸かって・・いや、夢見ごこちに浸っておりますですよ。
 松沢氏はミュージシャンなんで、お礼に宣伝。
『服部緑地RainbowHill2009』  10月11日 日曜日 昼の12時開場/12時同時開演(19時終了)  前売り¥3500/当日¥4000  服部緑地野外音楽堂(http://www.rainbowhill.jp) 出演(あいうえお順)・OBANDOS  ・サキタハヂメ バンド  ・スチョリ ・曽我部恵一ランデブーバンド ・パスカルズ ・ははの気まぐれ  ・ハンバートハンバート ・ふちがみとふなと ・ムー ・夕凪  
松沢氏はどれに出るんでしょう・・・・普段はソニックケトルです。パスカルズのラッパ吹き氏に工房で会ったので「服部緑地行くんでしょ?」と言ったら「何それ?」と言うので拍子抜けした。「ああ、大阪ね」とそのあと思い出していた。東京人には馴染みがない場所なれど、中津川フォークジャンボリーのような感じなんでしょうか。(中津川にも行ったことないけど)
 

●クレイアニメーション『青ひげ』
 
と、松沢氏に感謝しつつ、お茶の用意も万全に整えてディスク1を見ます(3枚になっていただいた)これは残念ながら破損していたようでMacに読み込めず。残念。でも贅沢は言わない。
 ディスク2へ。タコ。音もなくただただウニョウニョと動くタコ。吸盤のアップだとか目だとか・・・さらには髑髏に這わせたり・・・・穴に入るとかいろいろ。なんなんでしょうか・・・。パンルヴェの視点はサイエンスじゃない!でも、わたしはそれでいいんですけどね。ほかにもウニの触手のアップや、ゆったりとした動きを延々映す。これらのウネウネした生物の形態、動作に異常なほどに美しさを感じているのだ、ヤツは。そして、オオ、コレは!!と思ったのは、海洋ものばかりと思っていたら、クレイアニメーションが1本入っていたのでした。
 それは『BLUEBEARD/青ひげ』でした。これはプロデュースをしているのでした。パンルヴェはこうもりもお好きで、そのドキュメンタリーには昔のサイレント映画(と思う)の「ドラキュラ伯爵」の異様な場面が使われてます。これは何なのかな。雰囲気としては「カリガリ博士」のようなので、ドイツのものではないか?と想像。ドラキュラに興味のあるような人は総じて青ひげも好きだ。「青ひげ」が好きな人は「ジル・ド・レ」も興味があるだろうし、行き着くところは澁澤になってしまうような気がする。わたしは澁澤というよりは、シュールやダダの方に行くのですが、それでも、好きは好きですよねぇ、このあたりのハッキリ言って病的なもんは。(この病的なもんが犯罪に繋がるのが一番悲しい。「この頽廃」「この狂気」と、笑って楽しめるようになってもらいたいもんだ。)

 クレイ(粘土)アニメーションはわたし自身も制作しているし大好きです。このパンルヴェ制作のものは出てくるお姫様の顔が信じられないほど大人っぽくて美しい!これにはビックリしてしまった。たいていのクリアニメはかわいらしくデフォルメされていて、そこがどうものめり込めないものもなきにしもあらずだった。そういった意味で、ヤン・シュヴァンクマイエルやクエイ兄弟の人形を使ったアニメーションの方が、わたしの好きな「頽廃と狂気」にピッタリしているのだ。表情の無い人形の恐ろしさが良いのだ。クレイアニメーションは手間があまりにもかかるので、なかなか顔の表情をつきつめて表現するのは難しいと思う。これは顔の好みというのもあるわけで、あくまでもわたしの好みの問題であるのだけど、怖いくらい美しい顔の粘土人形なんてのは今まで遭遇したことがなかった。だからこの「青ひげ」にLOVEなのだ。作りは子ども用にできているのだけど、このお姫様の顔によって、制作者が単に子ども向けと考えてないことがわかる。しかし、驚くべきことに、このアニメに出てくる何百というアイテムは人形の制作をした制作者の方の3人のかわいらしい(全員小学生くらいに見える)お嬢さんらしいのだ。多分、重要な人物などはお父さんが作り、たくさんの首のないドレス姿の女などを一生懸命作ったのだろう。このセンス!恐るべし。

 フランスのこのセンスが好きだ。あまり好きではないが、このきれいなようで薄汚いようなセンスはコクトーに通じるところがある。ジャン・マレー(これまた好きじゃないです。母が好きだったのであまり悪口は言わない)が出た「美女と野獣」「オルフェ」のような雰囲気かもしれない。 (きれいなようで薄汚い、というのは、何を連想しているかというと、昔アチラの婦人は、高価なシルクの下着を着てはいたけれど、滅多に洗濯してなかった、とか、部屋はきれいにしているけれど、汚物は窓から街路に捨てていたとか、そうゆうことが頭ん中にこびりついているのです)

 こうしてわたしは、パンルヴェは、最初は単に海洋生物フェチのボンボンという捉え方だったのですが、知るほどにわたしのツボとなっていったのです。

●パンルヴェの謎を解く

 鳥肌もんで続けてディスク3へ。
 これはパンルヴェのインタビュー。生い立ちから科学ドキュメンタリーのあらゆることについて語っている。問題点、困難な点、どうやって撮ったか、何がおもしろいか、何を撮ろうとしたか等々。英語字幕なので、かいつまんでしかわからなかったけれど、わたしが抱いていた謎はだいたい解かれたのでした。彼の撮影のやり方。もしかしたらすべて水槽で撮影してるんじゃないの?お金持ちだからきっと巨大な水槽を持っていたに違いない。と思っていたのでした。でも、ちゃんと潜水夫の姿も映っていて(わたしが好きなへんてこヘルメットを被ってて、思わずガッツポーズをしてしまった)、大掛かりにもぐって撮影しているらしいものもあった。また、水槽もやはり使っていた。科学者でもあり芸術家でもある、というのはイイなぁ、魅力的だなぁと思う。

 そしてたくさんの写真や映像をはさみながらのインタビューを見ていたら、また鳥肌のたつシーンに出くわしてしまったのでした。それは、ジャン・ヴィゴの病床の写真と映像でした!

 一番好きな映画は?と聞かれたら多分わたしはマルクス兄弟の「我が輩はカモである」ジャン・ヴィゴの「新学期操行ゼロ」と答えるでしょう。ヴィゴは短命な映画監督でした。シュールレアリズムやアヴァンギャルドの時代にブニュエル(この人も好き)やエイゼンシュタイン、アルトーらと活動していた人です。その中にパンルヴェもいたということをこの映像で初めて知りました。もしかしたら何年か前に見た映画「ヴィゴ」の中でも出てきていたのかもしれないですね。その時には知らなかった。
 で、インタビューによると、仲の良い友達のようで、病床で横たわるヴィゴの写真を撮ったりしている。映像でもヴィゴはカメラ目線で優しく微笑んでいて、心の通じ合った関係だったと想像できるのだ。映像は正直だ。多分死の直後の写真だろう、と思われるものもあった。あの30年ころの実験的な映像が、パンルヴェの中にもあり、それが科学ドキュメンタリー、ただそれだけにとどまらないものとしているのだ。
 ポール・ヴァレリーも突然映像が出てきたので驚いた。この人の『テスト氏』は大学の頃に読んで愛読本となった。こんな(面倒くさい)紳士になりたいもんだ(女なのに・・・)と思ったものだ。

 最近は「ハイブリッド」という言葉が流行だ。ヴァレリーはもしかしたら精神と言葉のハイブリッドと言ってもよいのではないか?・・・とゆう使い方はあたっているだろうか。(ちょっと使ってみたかったんで)興味があるのは精神であり、言葉ではないが、言葉によって精神が語られるその経緯を分析することのおもしろさに浸っているかのようだった(と、うろ覚えながら思ってみた)。パンルヴェのDVDに突然現れたヴァレリーの意味は(英語字幕で理解できなかったので想像だけしている)、勿論ヴァレリーに影響を受けたとか友人だったとか、ということだろうと思う。
 科学と芸術、または科学と精神のハイブリッドが彼のフィルムには見られる。ヴァレリーがやったように、そこにはエキセントリックなものはなく、あると感じるとすれば、それは、説明しようとすることに終始していることによるパッション、「情熱」によるもののみだろう、と思う。クールな情熱だ。

 なによりも、この「情熱」に胸打たれるのだ。何事もそうだけどね。

では、またあした
 





◆2009年9月23日(wed) 下北沢でヘビ女になる

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エスプレッソと「はらドーナツ」 カプチーノ 『BEAR POND ESPRSSO(ベア・ポンド・エスプレッソ)』田中バリスタ




きょうも、好きなモンを書く。
楳図かずお
エスプレッソ


『サツキへび女におひかけられる乃図」サツキになりました。
口をもっと開ければよかったわ・・・・

図録の中のウメゾチントのページ。シットリ〜


『パンニャ』のカレー。チキン、ほうれん草withカッテージチーズ

サッカー界のマイルス

●下北沢
 夕方テレビで桂枝雀の落語を見る。生きていれば70歳だそうで記念の番組だった。ゲストに松尾貴史がでてましたが、きょうのお昼は下北沢の松尾貴史プロデュースのカレー屋でした。

●エスプレッソ
 
下北沢の用事がうまい具合に固まっていたので、きょう一日ですべてヤッチャエ!ってことに。下北近くにお住まいの物書きR氏と共に。

 まずは、前から飲んでみたかったエスプレッソ屋へ。『BEAR POND ESPRSSO(ベア・ポンド・エスプレッソ)』です。ニューヨークスタイル。田中氏は”洗練された舌を持つ男”とあちらでも言わしめた方なんだそうで、それはいったいどんな味だい??!!と興味があったのでした。向かいの「はらドーナッツ」でサトウキビの一番プレーンなドーナツを買って、お店の中へ。まずはとにもかくにもエスプレッソ。ドカンとしたマシーンが命みたいにカウンターを占有してる。カフェじゃないです。立ち飲みコーヒー屋です。イイ感じ。
 一口でクッと飲むスタイルです。エキスのみよ〜。でもまったく苦みはなく、香りが漂ってきます。エスプレッソにはお砂糖を入れた方がおいしいのだよ、という人が多いですが、前から「それって本当かなあ?わたしは何も入れないで飲みたいなあ」と思ってました。どうやらニューヨークではやはり健康志向でお砂糖を入れたくない人が多いみたい。田中氏は温度の調節で、甘みを微調整しちゃえるらしいんですねえ。ホホ〜、です。で、クイッと飲んだあとは予定通りカプチーノも注文。美しく模様がついたカプチーノです。ドーナツはこれにとっておきました。とても合います。はらドーナツは持ち込み可なんです(事前に調べておいた)。モッチリしておいしいよん。で、カプチーノもとっても飲みやすい。この時は温度で甘みを調節していることは知らなかったので、R氏と、少しぬるい感じもしますねえ、と言っていたのだけど、帰宅して調べてみたらそうゆうことが書かれているものを発見し、なるほど〜と感心しちゃいました。カプチーノはミルクの温度によって、砂糖を入れなくても甘みが感じられるんですねー。R氏はエスプレッソをかけたアイスクリームも注文。味見を少し。これも大人の味でおいしかった。今度は普通のコーヒーをいただこうと思います。

●ウメゾチント
 
ドーナツとカプチーノで結構お腹いっぱいになってしまったので、ブラブラ下北散歩をしながら南口の方へ行きます。12時前だったので混雑してなくてゆっくりした足取りで歩きます。最近わたしはとてもゆっくり歩きます。急いで歩くのは嫌ね〜
 餃子の王将(一度も入ったことがない!)のそばにできたギャラリーGAoh!で『楳図かずお現代浮世絵版画展』。入り口にいきなり「へび女」『サツキへび女におひかけられる乃図」の看板が。わたしは予定通りサツキの顔になりました〜〜〜〜!コワ〜〜イ、キャ〜でも楽しい〜
 この企画は楳図作品をアダチ版画研究所がコラボしちゃって木版画にしたり、メゾチントにしたりしたものを展示しているのでした。まことちゃんはちゃんと9版の浮世絵になっています。そして、銅版画の手法であるメゾチントで作られた「おろち」ほか。メゾチントで有名なのは長谷川潔とか浜口陽三とかで、最初に銅版を細かくベルソーなどの用具で目立てして真っ黒の状態にしておいて、白くしたい部分をバニッシャー、スクレッパー(という道具)で削ったり磨いたりして絵にしていくというものです。刷り上がりがしっとりとしていて美しい技法です。これが楳図作品の怖さを倍増させるのではないか・・・と想像しておりました。おろち、はとても美しかったです。欲をいえば、まことちゃんのような作品よりも、「イアラ」とか「ヘビ少女」とか「たまみ」とかを題材にしてほしかったなー。わたしもやりたくなっちゃいました。「ウメゾチント」とわざわざ書かれてておかしい。別の展示部屋では写真がたくさんあり、楳図さんがたまみを抱いてる写真(映画の現場で)など怖かったです。R氏とヒーヒー言って、ヒジョーに満足。

●あぶり出し
 
駅の方へ戻り、坂をブラブラのぼり現代HEIGHTSの山田ヤマシン真介さんの『you never leave you』展へ。しかしなんときょうは定休日でした!が、しかししかし、チラとのぞいたら入れてもらえて、ギャラリーだけ電気つけてもらっちゃいました。ヤマシンさんがわたしの個展に来てくれて言っていたのは「レモン汁のあぶり出し」なんだそうで、実物に興味があったのでした。思ったよりも大きいものがあったりでびっくり。どうやって炙るのかしら..とかレモン汁だけでどうやって濃淡をつけるんだろうとか、どのくらい量はいるのかとか、質問したいことがたくさんあったけれど、謎のままここでも我々はもりあがり満足。10月には京都の御所そばのmoshimoshiというギャラリーでもやるようです。京都出身の方だしね。いいなー、わたしもまた京都に行きたいな。わたしがイイな、と思った卵のあぶり出しは売れてしまってました。
 近くの厳かな洞窟とマリア様のいる教会にまた寄ってみました。きょうもここだけポッカリと静かでした。

●カレー
 
下北沢は雑貨天国。雑貨屋もちょいとのぞき、買い物。そしてザ・スズナリの前を通り、踏切をわたり、右方向へ。お腹も空いてきたので、これまた予定通り松尾貴史プロデュースのカレー屋「パンニャ」へ。カウンターのみの小さなところにきれいな女の方が一人でやってました。キッチンツールがどれもかわいいし、すべてがセンスよかったですよ。わたしは暑かったのでビール小も。チキンカレーたべました。普通に美味しかったです。ご飯は麦が半分。何故か扇子が置いてあって、壁に折り紙で作った般若の面が飾られてました。松尾貴史の趣味ですね。サラサラタイプ。わたしはこうゆうのが好きです。
 お腹が相当ポンポコリンになったので、またブラブラとお散歩。そして早めに帰宅。

●枝雀
 
枝雀は少ししか見れなかったのだけど、当時のことを思い出したりした。この人はどこに向っているんだろうか・・・と思う勢いがあって、好きとか嫌いとかじゃなく、滅多に上方落語はみる機会もなかったように思うけれど、人気があったからテレビにはよくでていたし、そんな時には見ていたものだった。正蔵の話で、稽古をしてないと落語がみんな外を向いて去ってしまう、だから稽古せねば(というかいつでもブツブツと独り言のように稽古していたらしい)と言っていたらしい。強迫観念のようなものがあったのだろう。芸にのめり込んでいく姿が鬼気迫っていて見てしまう、ということだったのだろう。凄いなぁ。そういえば、ラジオで聞いたことはないけれど、どんな風だろう。見ておもしろいというのもあったろうし、語尾がす〜、す〜、っと小さくなったりもするので(そこがこの方のアジなのかもしれないけど)、どうなんだろう、と思ったりした。
 息子はきょうは友達とサッカー観戦へ(来週テストなんですけど・・・・)ACL準々決勝、川崎フロンターレVS名古屋グランパス 。フロンターレが勝って、ルンルンで帰ってきますた。わたしも嬉しい。ところでジュニーニョ(フロンターレのストライカー)がいつも誰かに似てると思って見てたのですが、やっとわかった。マイルスだ!





◆2009年9月21日(mon) 珍しく美味しいハーブティー

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きょうも、好きなモンを書く。
濃いぃ〜味のハーブティー


『MANDALIN』のC/Sでいただくハーブティ。
『LONDON FRUIT & HERB COMPANY』のピーチパラダイス

●社交月間
 お休み中です。個展の残務整理、伊東屋さん刷り増し納品、子どもの面倒、掃除、でゆるゆると時が過ぎて行きます。なかなかよろしいですー。
 今月は個展があったということで、社交・コミュニケーション月間となりまして、お金は入るが出るのも多かった。でも、普段あまりできないおつきあいなんで、日々お食事しておりました。大森のギャラリー「ファーストライト」で洋服の展示販売をやっていたかおるちゃんとも、ギャラリーの方達と共に最終日ハルピン料理でもりあがりました。古い付き合いなんで、笑えることが多い。間違った記憶で25年たってたりして、笑ってしまう。お疲れさまでした!会期中3回もご飯しちゃって、楽しかったです。
 わたしの個展の時にもランチ、ディナーと誘われて行ったのですが、その中で、コピーライター&エディターの K&Hさんと行った銀座のイタリアンで最後にKさんが頼んだハーブティーで印象に残ったのでした。

●おいしいハーブティーには滅多に会えない
 
Kさんが頼んだカモミールティー。「あ、これ美味しい」と言うので味見をさせてもらっちゃいました。普通カモミールというのは葉っぱ臭いというか薬っぽい感じもわたしにはするのですが、これが「あま〜〜〜い!」んですよ。3人味見して、お店の方に「これって、フレッシュハーブでしょうか?なんでこんなに甘いんでしょうか?」と聞いてみたんです。
 すると3人に1つづつ、ティーバッグをプレゼントしてくれました。「これなんですよ。でも、日本では手にはいりません」と言うのでした。
 わたしはおいしいハーブティーの経験が少ない。パッケージがかわいいものが多いから、つい買ってしまうけれど、箱の中身最後まで飲みつくしたことがない。しかし、このハーブティは本当においしかったので、即ネットで調べてしまいました。そしたら通販で買えることがわかりまして、とりあえず、ほかにもたくさんの種類が出てることがわかったので、全種類入っているものを注文してみました。カモミールは本当に甘くておいしいです。ほかもとっても味がしっかりしているというか濃い〜〜〜い感じなんですよねー。『LONDON FRUIT & HERB COMPANY』です。どれもキュ〜トよ〜。レモン&ライムも濃いぃ〜〜〜です。やさしい味ってんじゃないんだなあ。キュートでパンチがきいてるのよねー。香料が強いのかなあ、ま、いっか
是非、お試しくださいませ。





◆2009年9月18日(fri) 版画お里帰り

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きょうも、好きなモンを書く。
西洋アンティーク


国立のアンティークショップ「Rose Ring」さんにお里帰りした
『MANDALIN』の版画(写真はRoseRingさんから拝借〜)


●版画のお里帰り
 工房復活を二日ほど。すっかり腑抜けになってしまったので、ついおしゃべりをしてしまうのだった。刷り増し作品は半分ほど進みました。まだインクが乾かないので、お待ちのお客様、もう少しお待ちくださいまし。

 今回、伊勢丹の作品展の方で出させてもらった新作のカップ&ソーサーの絵のうちの「MANDALIN」が、国立のアンティークショップ「Rose Ring」さんに。これはとっても感慨深いです。だって、この絵の元になるスポードの1900年頃のアンティークC/Sはこのお店で見つけたものだったからです。これをしっかりデッサンして、版画にしたのが今回の新作でした。それをお店の方が買ってくださったわけで。お里帰りのような気分。
 お店のブログに額に入れた写真を載せてくださっていたので、ご紹介します。多分アンティークの額なんだと思います。MANDALINは柳模様の前身にようなもので、確立された柳模様の中のいくつかの要素がまだ描ききれていません。でも、素朴さとかたちの思わぬモダンさで、わたしはとっても気に入っているのです。歴史的にみてもとても価値があると(柳模様愛好家としては)思ってます。
http://rosering.exblog.jp/d2009-09-18

 また、国立に行くのが楽しみになりました〜

●ウクレレ
 
大森のギャラリー「FIRSTLIGHT」で開催中のティアンドのお洋服展にきょうも行ってきちゃいました。近くでうれしいわ。きょうは昔っからの友達も来るというし、ウクレレやってるといってたので、わたしは手持ちのレスポール型のエレキウクレレを持参した。さんざんカフェで話したり、ランチをしたりしたあと、ギャラリーで少し弾いてみたりする。お客さんがいなくなった隙にチャカチャカ。いくつかのコードは覚えているので、なんかすぐにできそう〜。
 でも、フレットが小さいよね。ギターに慣れていると窮屈だなあとは思いますが、数人でやると楽しそう。季節もよくなったので、今度は公園でやろう、と話す。
 やりたい曲が1曲ある、外国の曲なんだけど、例のごとく日本語に直して歌いたいもんだなー、ナンチテ。久しぶりに弦押さえたら、ウクレレのヤワな弦なのに痛かったです・・・・ふぬけてます。
 





◆2009年9月17日(thu) わたしの歯車/ナチュラルジャンキー

 

きょうも、好きなモンを書く。
見えてしまった不可思議ないろんなもの



マグリット


●共感覚
 というものがあります。知っている方もいるかと思いますが、ドレミファを聞くと、それぞれに色がついて見えるとか、匂いを感じるとか、あるいはある色を見てハッキリとした音や匂いを感じるとか、そうゆうことなのですが、多かれ少なかれ人にはそうゆう感覚はあるにしろ、ハッキリと感じてしまう人というのがいるんですねー。わたしが初めてそれを知ったのはつい数ヶ月前に水道橋博士と宮崎哲弥が司会の『博士の異常な鼎談』(MXTV)にゲストで出ていたモデルの中野裕太がそうだったからなのでした。これは、す、凄いなあ〜。と興奮しまして、いろいろ調べてしまいました。宮沢賢治もそうだったのね。一番有名なのはレオナルド・ダ・ヴィンチです。妄想や想像なんかじゃなく、現実に彼らは見ていたのだ。見えていたのだ。音や匂いや色を同時に。そしてそれを表す才能を人一倍持ち合わせていたのだ。


 共感覚とは別のお話なのですが・・・・・
 幻のようなものでも、見えていればそれは現実なわけだ。おととし、わたしは直径5cmほどの円形の中にゴシックの『2』が入ったものが天からいくつもゆっくりと落ちてくるのを見た。街がすべてジェリーの中に入っている状態で、そこここに気泡さえあった。あれは確かに見てしまったものだった。そのジェリーの中をかきわけて前へ前へと歩くのは力がいった。前へ行く、という意識をしないと前へ進めない。でも悪い気分ではない。なぜならジェリーは柔らかく優しく、からだにフィットするからだ。降ってくる『2』がゆっくりとジェリーに埋もれて行く様子は美しかった。
 さらに、昨年の春には精神的におかしくなりかけていた(なっていた)せいもあるのだけど、歯車をいくつも見てしまった。これには参った。いくら目をこすってもいくつも重なりあって見えた。その歯車のせいでまったく前方の視界が遮られてしまう。3D映像でついやってしまうように手で払っても勿論それは消えなかった。一体これはどうしたことだ!!と怖くて目を閉じるのだけど、それでもグルグルとゆっくりと歯車は回っている。きっと疲れているのだ・・・・と目をあけるのを諦め、休むことにした。これが続いたら、もう何も見えてないのと同じことだ。子どもの顔を見ても顔の部分が歯車になってるわけで、空も、テレビも何もかもが歯車になっている状態なのだ。こうなると絵も当然描けないわけで、「そうか、これからはわたしは歯車を描くしかないのか」と思ったのだった。心を落ち着かせて数時間横になっていたらなんとか消えてくれたので、でかけて用事をすませたが、歩いてる最中一度歯車が出かかったのを気力で押し込めて、いそいで家に帰った。そんなことは数日続いた。
 今はもう大丈夫だけれど、少しあとでデザイナーのNさんにその話をしたら芥川が死ぬ前に歯車を見ていたということで、危なかったねえ、よく戻ってこれたねえ、と言われた。いや本当によかったです。芥川には「歯車」というドンピシャの小説がある。そういえば。
 見えてしまったものは、『2』も『歯車』もあまりにもリアルだったので、客観的に見て「おもしろかった」し、「興奮」してしまった。いつでもこんなもんが見えていたら、どうだろうか。ジャンキーってこんな感じだろうか。なーんてことを考えたりしたわけです。わたしはナチュラルジャンキーなのだ、きっと。
 それから「2」については絵にいれ込むことが多くなった。でも、歯車は何度も下絵を描きながらも、完成するに至らない。何故かというとこれを描いたらおしまいだ、という気分になるからだ。歯車を描く人は多い。よく見る。その人たちはどうして歯車を描くのだろう。わたしは自分の気持ちの突破口として描きたいと思いつつも、描き始めると具合が悪くなってしまうのと、これは突破口ではなく逃げ道だ、という意識があり、少なくとも今描くものではない、と思えるのだ。完成させたらきっとあとは突破ではなく「死」しか残ってない・・かのようにさえ感じるのだ。そして芥川は「書いてしまった」のだった。

 この歯車を見た昨年の春頃、この日記にも少しその事は書いたのですが、あまりにも歯車まっただ中だったのでオブラートに包んで書いたと思います。きっとそのうち整理ができるだろう。その時に書こう、と思っていた。今やっとその時が来たかな。そんな今日この頃でありんす〜。よかったねぇ

 水道橋博士と宮崎哲弥の上に書いた番組はたいそうおもしろうございまして、毎回は見てないのだけど、見るたびにゲストの話以上に宮崎氏がおもしろいと思ってしまうのでした。友達になりたいです。ちなみにきょうが放送日。きょうのゲストは有馬晴海です。

●マグリットの罠
 ルネ・マグリットについては別段考えたことがなかったのに、今ふと思い出してしまいました。マグリットの不思議な世界と彼が静かに暮らしていたのには関係があったのかもしれない・・・と・・・。もしかして現実に見てしまったものを描いているから、突っ込まれたくなかったんじゃないかしらん???!!!想像の産物ならアレコレと説明もできるだろうけれど、そうじゃなかったのかも。「本当はね、見ちゃったのよね、ボク。空から男たちが降ってくるのをサ。黒いコートを着てね。顔に花が咲いているのもよく見たよ。浮かんだ石もハッキリ見た。でも信じてくれないでしょ?だからサ、あんまり言いたくないのよね。変人だとか言われたくないしね。普通に生きてるだけだしね。」なーんてことかもしれないじゃあないのよー
あの淡々とした表現こそ、ただの想像じゃないことの表れのように思えてくるのだ。
 シュールリアリズムの画家はたくさんいますが、ダリのはまったくの想像、創作に感じるんですよ。驚かそうとかね。そうゆう作り物感、そんなもんも感じる。でも、マグリットはどうもそう思えないフシがある。危険を感じて触れることができなかった、というのがわたしが彼について考えたことがなかった理由なのかもしれない。それとも、それすらもマグリットの陰謀かもね。すべてを演出していたのかもしれない。不思議な人だ。

 きのう書いたオーラの話。あれがなんでそんなに尾をひいてしまったかというと、何もないと思しき場所に色がついていたということで、共感覚とは違うけれど、共感覚のような気分を味わえたからなのだと思います。
「松本さんといえば、緑よねー」なんて感じが、実際に肉眼で見られるという楽しさがあった、というわけです。多かれ少なかれ持っているとは思うけれど、本当に持ってる人というのは、最初に書いたように、ドの音が赤(かどうかは知らない)として見えてしまう、ような人のことです。誰かわたしの回りにもいるかしら?





◆2009年9月15日(tue) でたな!オーラ

 

 



オラのオーラだよ〜ん『緑』+『紫』と少し『青』


●画廊へ
 また銀座へ。銀座通いがさらに続きますねえ。
 芸術の秋ということで個展も多い。Oギャラリーへ銅版画の「安藤菜穂子」さんの個展を見に行く。さらに身体的というか内省的になっていたような気がする。隣の部屋の油絵もおもしろかったです。作家さんとおしゃべりしておもしろかった。と、廊下にたくさん貼ってあるDMの中に興味をひくものが1つ。ギャラリーの方が親切に場所を教えてくれたので、行ってみることに。
 京橋のギャラリー山口の地下の方のギャラリーで「指田容史子展」。白いチュニックにアクリル(ジェッソ)を塗り、そこに真っ赤な糸やペイント、木の枝、刺繍などがくっついている。服をカンバスにしてオブジェと化している。その赤のきれいさと、素材や配置のセンスがわたしのチョ〜〜好みでした。ああ、こんな服着たいなあ、と思わせる。作家の方もとても素敵で、現代アートを飛び越えて活躍してほしいなーと思いました。

 それから伊東屋さんに1点のみ納品。そこからアップルストアに行く。iPodの修理だなんだの見積もりをしてもらう。どうも古いものを大事にするよりも新しいものを買った方がよさそうで、やんなってしまった。そんなにそんなに外で音楽聞かなくなったので、見積もりでおしまいにする。そこから新橋の方へ歩き、本屋で「ブルータス」と「メンズ・ノンノ」を購入。「ブルータス」は『Mr.Gentleman』という特集。こちらは付録も保存版で良かったです。メンズノンノは全編資生堂UNO風かと思いきや、全然そうでもなくほとんど女性誌ノリなのね、この雑誌って。UNOのロンドン撮影話は数ページだけ。4年前に行ったローストビーフで有名な「ルールズ」の前で菅井きん(女王役)とバッタリというヴァージョンのCMもあったりで、やっぱしきれいな男の子ばっかしで楽しいな〜と単純に喜んでおります。ビートルズの映画「ハード・デイズ・ナイト」ですもんねえ、これって。わたしは妻夫木くんが一番タイプです。「天地人」も見てるのよ。妻夫木くんも小栗くんもいいけど、影勝役の人も好きなのよー。
この雑誌は小僧のためのものと判断したので、ウチの最近ファッションに目覚めた小僧達にプレゼントしようと思う。

●わたしのオーラ
 個展の時にライターのKさんが「博品館の前にオーラ測定器があるのよ、おもしろいかと」と教えてもらっていたので、行ってみることに。525円でできます。詳しいレポートは3000円してしまうのでやめる。
 2年前だったらわたしはオーラビンビン出てたと思いますが、今すぅ〜〜〜っと身が軽くなってる状態なので、オーラなんてありましぇんねえ。平均的なオーラの量でしたよ。そしてそのオーラの色ですが(写真のまわりにチャクラから発する色がボ〜〜〜ッと出るということらしいですよ)、わたしの中心の色は緑色でした。頭の上はきのこ雲のように紫で、一番外側はうっすらと青でした。さて、その診断ですが・・・
●緑ーーー社交的でコミュニケーション能力抜群!優しく思いやりがあり、調和を大切するタイプ
●紫ーーー直感力、芸術的センスに優れたカリスマ的存在。独自の道を切り開いていく理想主義タイプ

やったー!カリスマだ〜
しかし、まわりの人が思うほどわたしは社交的じゃないんだよね、本当は。面倒くさがりだから。こんなにイイもんじゃないと思います。どれもみんな当てはまるようにできてるんじゃないの?とほかの色の説明も読む。まじめな金色、まっすぐな赤色、ヒーリング系白等々、嫌かも・・・。しかし相性診断をみると、緑の人はほとんどの人とOKらしい。調和を大切にするというのは、反対に考えれば争いごとはなんとか避けたいと思ってるだけのことなんで、物事は両方の観点から見ないといけないのだ。でも、ちょっとおもしろかったです。あとは、内蔵は元気だが、頭は疲れてる、とお兄さんが言っていた。詳しいレポートをもらうと書いてあるらしいです。

 銀ブラでした〜






◆2009年9月14日(mon) TEANDの洋服の宣伝

ブログ● +P里美の『Bronze & Willow』はこうして作られた
松本里美の『銅版画集&CD』制作日誌はコチラd0905


きょうは、近所のギャラリー「ファーストライト」で今開催中の洋服の企画をご紹介。
http://firstlight.web.infoseek.co.jp/album/teand/teand-dm.html
「秋そよぐ」 茶安土(ティアンド) 季節の新作展 ◇  ◇  ◇ 会期 : 9月12日(土)〜19日(土) 11:00〜19:00 *17日(木)休廊 ・ 最終日17:00まで

藍色のサロペット。購入予定。 綿のニット。背が高く見えます。 カシミア。軽くて肌触り抜群、ダラッとしたり首に巻き付けたりいろいろ。色もヴィヴィッド。膝まであるのよん。素敵でしょ!
モコッとしたジャケット。形がかわいい。 2色使いのベスト。スカーフはクシュッとしていて使いやすい。色も多数あります。 ティアンドのオーナー&デザイナーのかおるちゃんです。

近所なので、通っております。きょうはモデルをつとめてみました。撮影はファーストライトの水越さん。
すべて自然な色あいで綿の着心地の良いものです。年齢の幅も広いと思います。
コーディネートもいろいろできて、楽しいです。お値段は9500円くらいから。
カットが立体的でおもしろいです。木曜お休みです。土曜日までやってます。

昔からの友人です。仙川でずっと「TEAND/茶安土」という洋服屋さんとギャラリーをやってます。
12日から大森のギャラリーで個展中。わたしが個展とワークショップをやらせていただいたところです。






◆2009年9月13日(sun) 絵本サッカーバグパイプ

 

きょうも、好きなモンを書く。
チェコのあれこれ



チェコとイギリスのかわいい本


●展覧会は会期に要注意
 堀内誠一の展覧会を見に世田谷文学館にいった。が〜〜〜ん!1週間会期を間違っていた!個展が終わったらゆっくり行こうと思っていたのに・・・。夏の間はこの展覧会が唯一の逃したくない展覧会だったのに、自分でもこんなポカ信じられない。愕然となりながらお茶の水に向う。もうひとつきょうで最終日で気になっていた神保町の「AMULET」での「ヨーロッパと日本の古書絵本」展を見に。これは間違ってなくてよかったぁ〜〜。
 たくさんかわいい絵本があって、嬉しくてクラクラしました。アッと思って手にとるものがたいていチェコので、本当にチェコというのは芸術においては奥が深いですなあ。しかし、欲しい!と思ったものはみんな高かった。
 子どもに良く読んであげていたトミー・ウンゲラーのもので、「ダービー」という競馬場の絵本があった。鉛筆でサラサラと描いて巧みな水彩で色づけしたものがすばらしく美しかった。この方のほかの作品はピチッとした輪郭の線があるPOPなものが多いので、このクロッキー風(ロートレックのようだった)は珍しい。いいんだけど29400円もする。直筆サインがついているせいなのだ。いらないんだけどなぁ・・・。
 結局お財布と相談して2冊購入。1冊はイギリスの本でナーサリーソングスの楽譜がたくさんついているもの。マザーグースのものが多い。もう1冊は、あとで近くのドーナツカフェ「and on and」で良く見たところやっぱりチェコのものだった。う〜ん、恐るべしチェコ。これは子どもの長編なんだけど線画が美しかった。飲んだくれの犬が出てくる。チェコ語なんでなんと読むのか皆目わからないが、パパポポ(という名前のよう)と飼い主のオジサンとかわいい女の子の犬のお話のもよう。やはり、線が生き生きしているものがわたしは好きです。
 きょうは本屋はそのくらいで、楽器屋と中古CD屋を中心にゆっくり見た。ああ、こんなの半年ぶりじゃないだろうか。いや、昨年からこんなに時間を気にせずブラブラしたのは初めてだ。楽器屋ではウクレレをちらりとみる。持ってはいるけれどケースはないので、どんなものがあるのか楽器屋のいくつかを一巡りした。ここでも素敵な花柄のハードケースは2万円くらいしていて、普通のソフトケースは3900円くらいで、どうしてもお高いものばかりに目がいってしまう。こんなソフトケースなら自分で作った方がいいんじゃないか・・・と余計な手間ひまかかることばかり考えてしまうのだが、今ならそうゆう時間も作れそう。

 今週から数人知り合いの個展が始まる。それと楳図さまのもあるので、忘れないようにしなくっちゃ。そういえば、伊東屋でやってる間、隣の松屋で赤塚不二夫展をやっていて、次から次へと知人がバカボンの袋を手にわたしのところに来ていたのだった。数名からはクリアファイルや「バカ田飴」なんかを貰っていて、わたしも行きたいジョ〜〜〜〜!と思っていたのに、ついにそうゆう時間を捻出することができなかった。ガッカリのココロ。シェ〜〜〜!

●5人目のビートルズ
 きのうはアイリッシュの兵隊の話でしたね。
最近サッカー好きのK太郎が「ビートルズといえばジョージ・ベストというアイルランドの人でマンUにいた凄いサッカー選手がいてサ、『5人目のビートルズ』って言われてたの知ってる?髪が長くて顔もカッコよくて、初のPKのキッカーでもあったんだよ」なんて話をしてくれた。ベストと聞いただけで何をわたしは勘違いしたのか、ビートルズ結成時のドラマー(ハンサムだったので人気があったがマネージャーになったエプスタインにクビにされたのでありました。その後リンゴ・スターがやってくる)ピート・ベストとごっちゃになってしまった。ジョージだピートだジョンだ、イギリス人に多い名前だ。ボンヤリしていたので「ええ!?5人目って・・・・そりゃあメンバーだったんだからさぁ、とかなんとか噛み合わない会話をしてK太郎も???な顔だった。
 それよりもなによりも、きのうの川崎フロンターレと鹿島アントラーズの試合はどうよ!!??ウチはみんなフロンターレファンなんですが、今鹿島とは首位争い中なんですよ。関心ない方の方が多いとは思いますが、きのうはアウエイで3対1で勝っていて、66分たったところで、なんと!雨がひどくて主審がゲームを中止にしちゃった。いつまでたっても始まらず、結局無効試合になってもうた。イエローは有効のままで、得点したものは無効というのはどうなんだい?チョンテセは久しぶりに2ゴールもしてる。プロとして得点したものが無効にされるというのは死活問題なんじゃない?イエローが有効なら得点も有効としなくちゃかわいそうじゃん。ほかにもいろいろ問題だと思うんですよねー、この決断は。今後どうなるのか見守るのであります。

●バグパイプ と太鼓
 アイリッシュの軍楽隊の演奏はバグパイプがメインのようね。スコットランドもバグパイプがメイン。ところで、元々軍楽隊の存在意義というのは、戦意を鼓舞するためだったわけだから、太鼓がメインだったのだと思います。トルコの軍楽隊にしても太鼓が勇壮で良いのだ。そこに管楽器が加わる。中央アジアにはバグパイプの仲間がたくさんあって、わたしと一緒に演奏してくれた事もあるmamaclioさんの大野くんがやっているガイダというのもその仲間でした。たしかに大きな音がでるし、ドローンがたくさん重なるとテンションは高くなるかもしれないけれど、きのう見ていたアイリッシュ・ガードの演奏は鼓舞というよりは牧歌的な気分にさせられたので、どうなんよ?とも思った。でも今の世の中戦意なんて鼓舞されなくていいのだ。だからバグパイプでいいのだ。
 というわけで、やはり軍楽隊の中心は太鼓にあるのだと思う。だから、太鼓の人だけちょっと派手なんですねえ、衣装が。英国海軍の大太鼓の人はなんと虎の毛皮をすっぽり着てるんですよ。これはどう見てもバイキング。やっぱりパイレーツなお国なのねー。

 きのうのキルトの下のつづき。
 個展に来てくれた物知りのH氏が教えてくれた話。ケビン・コスナー主演の「ロビン・フッド」のワンシーンで、キルト姿のスコットランド兵がいっせいにお尻をみせて、さしずめ相撲の猫だましのように相手の戦意を消失させた(顔をそむけひるんだ)隙に攻撃する、というのがあるのだって。これはロビン・フッドの合図によってそうしたそうで、ちゃんとした攻撃技に違いない。バグパイプといい牧歌的でイイわぁ〜





◆2009年9月12日(sat) 兵隊犬とキルトの下

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きょうも、好きなモンを書く。
軍楽隊


『Peace!』



『突風』です。縦36.5cm



●個展での発見
 個展終了しました。来てくださったみなさま、ありがとうございました!いろんな意味で萌え〜なものを見にきてくれる人がたくさんいて、おもしろかったです。久々の人間だらけでしたが、わたしは人間描くのがもしかしたら一番好きかもしれません。というか、シチュエーションを考えるのが結局楽しいからなんだろうなー

 このたびは、11日間皆勤。途中数回友人とランチをし、ディナーも数回。銀座で、イタリアン、中華、カフェ、京料理、ルーマニア料理というのは楽しかった。さらにご一緒した方々がみんな楽しく、どれだけ話したか・・・11日間しゃべりまくりでした。
 その中でビックリした事件がありまして。それはコピーライター&エディターのお二人と南イタリアのレストランで食事した時で、その一人のKさんのご主人と実はわたしは30年ほど前に千趣会の仕事でご一緒していたことが発覚したのでした!この仕事がわたしの初仕事でした(多分大学4年の時だった)。まだ相当下手だったのに、何故か売り込みに行った先でN氏という編集の方が即決で使ってくれたのでした。今思えば絵のうまさではなくて、その方に会った時に話したオヤジな匂いだけで採用だったように思う。実際、その初仕事のほとんどは「トレンチコートの意味」とか「茶碗蒸しの食べ方」とかそんなウンチクもののオンパレードだったからだ。この頃のわたしは伊丹十三だとかブルータスだとかメンクラ・・・そんなもんが好きだったのでトレンチコートの歴史も着方も(持ってなくても)知っていたような小憎たらしい若造女だったのだ。多分絵はそこそこだけれど、内容をすぐに把握するだろう、という見込みでの採用だったのだと思う。その後も無理矢理パッケージ本をやらされた。N氏はわたしが立体が得意だということをすぐに見破ったわけで、自分ではまだ気づいてもいなかったわけだから、凄い人だったんだなあと感心している。その後わたしはイラストよりも立体の方が仕事は多くなったのだ。
 その初仕事の時に「なるほどな〜〜」な文章を書いていた方が、今新しく始まった食べ物関係の仕事のライターKさんの相方というわけですよ。それを、一緒に食事をしたもう一人のライターのHさんが発掘しちゃいまして、その日のディナーは驚きがいっぱいでした。過去にはこだわらない、と前前回の日記で書いたばかりですが、またしても世間は狭い!ということを実感してしまって、クラクラしてしまいました。絵は恥ずかしいもんだったのだけど、一生懸命やってたので、あれはあれで記念の仕事でした。その当時はわたしはファッションイラストレーターになろうとしてたんですよね〜、だから、今回の個展は30年たってやっと実になったという感じもしてきて、とても感慨深いものになりました。巡り巡って、やっとわたしは人を描けるようになった・・・という感じです。


●スコットランドとアイルランドのキルト
 普通みなさんが知っている英国の兵隊さんというのは、赤いスパイダース(60年代のグループサウンズよ。知らない若者のために言っとく。マチャアキもかまやつも井上順もいたのよ)が着ていたようなあの軍服ですね。このたびはこのバッキンガム宮殿の衛兵交代について、ひじょ〜〜〜に学びました。赤い軍服に熊の毛の帽子の兵隊さんは5連隊あるのでした。スコットランド、ウェールズ、アイリッシュとイングランドの(と思う)グレナディアとコールドストリームというのがあります。(詳しくは『英国男子制服コレクション』を読んでみてね)
 その中のアイリッシュ・ガードさんは、行進する時に犬を連れてます。アイドルです。マスコットです。アイリッシュ・ウルフ・ハウンドというとても大きくてかわいい犬です。調べてみましたがほかの隊ではスコッチもコーギーも連れていません。この行進するスタイルがなんともかわいらしくて、どうしても版画にしたいと思っていました。それぞれボタンの数や帽子についた羽根の色、位置、有無も違う。そしてマークも違う。アイリッシュはシャムロック(クローバー)です。調べていた時、1枚だけ犬の頭にクローバーの編んだ冠をかぶせているのがあって、それが愛らしかったのでわたしも描いてみた。わたしの版画はフワ〜〜ッとたくさんのクローバーをかぶせています。兵隊も微笑んでます。これは、行進も終わってホッとしたところです。女王はコーギーを飼っているそうだけど、犬はどこ子も大好きみたいで、なでなでしている写真や映像もいくつか見た。
 この絵が結構なヒットで、来週は刷り増しです。タイトルは「Peace!」です。アイルランドに平和を・・・・・という意味です。

 軍楽隊が好きなので、たくさんyoutubeを見て喜んでいるわたしです。バグパイプとキルトはスコットランドだけではなくて、アイリッシュでも見られます。ケルト文化圏です。スコットランドでは氏族を表すタータンチェックのキルトですが、わたしが見たところ、アイリッシュの軍楽隊は無地が多い。詳しい意味についてまでは調べてはいない。調べだしたらキリがなさそうなんで。でも、その内ゆるゆると調べてみましょう〜
楽器や音楽も違うんだろうな。

 キルトの下には何もはかないのが本当なんだそうですが、はいてる人もいるしいろいろみたい。youtubeではたくさんお尻丸出しのおかしいものが見られます。これもさんざん見倒して笑った。わたしはゴージャスなタータンチェックとバグパイプとお尻が描きたかったので、『突風』というタイトルの版画を制作しました。上品でしょ。上品にお尻描いてみましたのよ。後ろのオバサマはモンティ・パイソンの人ではありましぇん。もっときれいに画像UPしたいですねえ。コレ、タータンがきれいにできたので。本では、表紙をとるとこれが現れます。

●買ったりいただいたり
 春からずっと赤貧のままストイックに工房通いをしてきていたので、洋服も買わずにやってましたが、銀座は原宿とはまた違った意味で目の毒で、イイもんが目に飛び込んできてしまい困ってしまいました。絵がまあまあ売れた会期中盤で、ついに緊張と財布の糸が切れ、コートやら靴やら買ってしまった。イイじゃないかっ!
 それから、随分たくさんのいただきものをしました。みなさんおもしろいものやおいしいもので、一つ一つ紹介したいくらいです。よくみんな見つけてくるなあ〜という感じです。かわいかったのは大阪ライブみやげの「くいだおれ太郎プリン」(牧野くんありがとう。)「お目出糖」という和菓子(吉田さんいつもおもしろいものありがとーございます)、箱に泥棒のホッカムリしたようになっているミニ手拭い(石橋さんありがとー)等々。牧野くんにはCDも貰ったし、ほかにもCDをくれる方がいまして・・・・いつものことながら音楽関係の人、美術関係の人、お子ちゃま関係だとか仕事関係だとか、いろんな方が来ておもしろかったです。見知らぬ方とのお話も楽しくて、そうゆう方が絵を買ってくれたりは嬉しい。実は一番嬉しかったのは、見知らぬ人と話した時だった。絵を楽しそうに見てくれたあとに、「Bronze & Willow」を手にとってくれて、「こうゆう世界が好きですが、CDの解説などはどうゆう風になってるのですか?」と丁寧に聞いてくれた。「これは絵と音楽を一体にするということが目的なので、解説も歌詞も画集の中に物語として自然に組み込まれるように作っているんですよ。それがわたしの頭の中と同じ状態だからです。」と説明すると、深く頷いてすぐにレジに向われた。どこから見てもきれいにできていると自負しているし、音にも自信があるので、余裕を持って説明できる。5冊売れる。新刊本は用意した30冊完売!よかった〜。「英国フード記A to Z」も健闘しまして、7冊売れました。

 きのうは相当グッタリして、K太郎とマツキヨに搬出を手伝ってもらったので帰り道にあるファミレスで打ち上げる。グラスビール1杯で帰宅後爆睡。インフルエンザで延期になった京都奈良の修学旅行帰りのK太郎が、変な京都弁をずっとしゃべるので(きょうもさらにエスカレートして京都のタクシーの真似をしていた。)笑える。今朝はスッキリして、掃除から始め、発送数点。バラバラにしてしまったブリティッシュロックCDを整理。頂き物CDが結構あったので(聞いてたり聞いてなかったり・・・)箱にいれて整理してみた。今年はもう何の予定も入れてないので、ボチボチいろんなものを見たり聞いたりしたいと思う。やっとだ。やっとそんなくらしができる。

 午後になって、大森のギャラリーまでチィちゃんと散歩がてら行く。「ファーストライト」できょうから友人かおるちゃんの洋服の展示と販売が始まったのです。買っていただいていた版画も持参。オーナーの水越さんと3人でゆったりとおしゃべりした。洋服はずいぶんたくさんの種類があって、チィちゃんがいたのでちゃんと見れなかったから、またあさって行ってみてこよう。





◆2009年9月8日(tue) 帽子レース

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きょうも、好きなモンを書く。

帽子


飾ってある額を撮影したのでガラスに光っちゃってますが・・・・
『帽子レース』です。横45.5cm
どっちのレースが激しいか!?


●下北沢
 9日目が終了しました。
 8日め、だんだんずっといるのにも飽きてきたので、昼ちょっと抜け出して知人と軽食。きのうは昨年フリーペーパーに『Bronze & Willow』や版画やライブの情報を美しく載せてくれたデザイナーのヤマシンさんが来てくれた。このフリーパーパーは下北沢スズナリが昨年突然なくなってしまって(今もありますが劇場として使われているらしい)、それで無くなったもよう。わたしのが載ったすぐあとということになる。残念。建物も世界遺産的だし、これからも無くならないといいなと思います。ここで最後に見た映画は小杉武久のタージ・マハル旅行団の映画だった。サブカルど真ん中でおもしろかったなあ、ココ。そういえば、下北沢のジャズの老舗「マサコ」も今月いっぱいでなくなる。2回行ったことがある。昔は南口の方にレコード買い取りのHUNTERがあって、そこの上にNOISEというジャズ喫茶があった。ここは駅に近かったし、割ときれいで入りやすかったのだけど、いつのまにかHUNTER(ここで随分レコードを売り、そのまま散財した)もなくなり、NOISEもなくなった。NOISEはわたしがまだ実家の町田にいた時に、よく行っていたファッションビルに明るい雰囲気で入っていたけど、今もあるのかな。
 そのヤマシンさんこと山田真介さんの個展が下北の現代HEIGHTSのギャラリーである。17日〜29日。「炙り出し」なのだ。レモン汁を使っているそうだ。「カビはえてこないの?」と真顔で質問してみた。「しないです」とサッパリしていた。久しぶりにお散歩しがてら見てこようと思う。佳村さんもまたここで個展とライブがあるそうで、以前も見にいったけど、また見に行ってこよう。こんな話を聞くと、わたしもライブがしたくなる。個展が終わりに近づいて、今年の予定もなくなったので、ぼちぼち考えようかなー
 でも、次の個展ももう決まってるんです。これには曲をどうしてもつけたいので、そろそろギターの弦でも張り替えよう。

●帽子レース
 英国のこと、ファッションのことを描きつづけていて、どうしても描きたかったのが「アスコット競馬場」の馬と帽子だった。映画「マイ・フェア・レディ」でみなさんご存知だとおもいますが、ここはクリケット同様、馬のレースというよりは、社交がメインだと強く感じる。あの映画は衣装がジバンシーだったから、アスコットのシーンも華麗な帽子のオンパレードだった。(物語的にはかわいそうなシーンだったけど)女王陛下もくるからドレスコードがある。それにしても帽子を見るだけで楽しい。相当奇抜なのもここではどうってことない。みんながそれを見て楽しんでいるようだ。というわけで、「帽子レース」という作品を作った。技法的には95%ソフトグランドエッチングというもので、鉛筆のような手の感覚がダイレクトにでる技法を使ってスピード感を出している。正面コースに躍り出て、もうすぐゴールだ。

出来上がって早々に「あ、もしかして時計回りに描いてしまったのは間違いかも?」と汗をかいた。日本の競馬では両方の回り方があるが、外国はどうだったかウロ覚えだった。お客さんに説明していたところ、「フランスのロンシャンはこのような時計まわりですよ。」と教えてくれて、親切にも(というかこの方競馬が好きなようですぐにご自身知りたくなったもよう)携帯ですぐに調べてくれた。「アスコットも時計回りでしたよ!」。ありがとうございます〜〜〜、ホッとしました。

 きょうは、ビートルズ記念日ということで、The Beatles 1967-70をかける。紳士が立ち寄る。ヒジョーに楽しい歴史や文化の話をした。わたしは普仏戦争だビスマルクだ、アイルランド問題やら何故か話せる女でして、この紳士とヨーロッパにおける個人主義と文化的遺産の保護かつまた日本人のゆるーい精神(わたしも含め)について語る。こんな話をしながらもわたしのヒゲ写真を面白ろがってくれて、かなりイケてる紳士でございました。帰りぎわに「会話も楽しかったよー」と言われる。そうよ、わたしは銀座のNo.1ホステス版画家よ〜。エレベーターまでお送りしますわよ〜

 ビートルズ効果。絶大。古いものと新しいものが入り交じった英国的なものを展示している中、ビートルズの音楽が聞こえてくると、さらにシックリするのだ。さて、わたしはBOXセット買うんだろうか・・・・あと1枚絵が売れたら考えよう。





◆2009年9月8日(tue) クリケット・ティー

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松本里美の『銅版画集&CD』制作日誌はコチラd0905

きょうも、好きなモンを書く。
ティータイム


飾ってある額を撮影したのでガラスに光っちゃってますが・・・・
『クリケット・ティ』です。縦36.5cm


●伊勢丹は終了です
 伊勢丹新宿店の作品展がきょうで終わりました。伊勢丹さん、お客さん、アートフレームコーナーのみなさん、ありがとうございました!伊東屋にも伊勢丹を見てきてから来てくれた方がたくさんいらっしゃったし、伊東屋さんから伊勢丹さんに「行って来まーす!」と言って立ち去る方もいて、わたしは楽しかったですが、二つとも行ってくださった方には本当に感謝です。半日わたしと過ごしちゃって、悪いですねえ・・・なんちて

●結構盛況
 11日間の個展、きょうで2/3が過ぎました。
 4日目に突然10年会ってない友人が来た。たまたま人がいなかったので波瀾万丈の人生を語り倒してもらった。感慨深し。5日目には、いつも来てくれるヴィデオアーティストのTさんが。彼はわたしが「どの程度生きてられているか」を検査しにくるのだ。「よしよし、生きているな。じゃね」と帰っていく。会えないながらも、芳名帳代わりのカードに沢山のメッセージを書き残しておいてくれる人もいる。この日は大阪からもはるばるKさんが来てくれた。昨年の京都以来、ばんばん東京の個展やワークショップに来てくれている。「楽しまなくちゃ!」という精神がイイね。疲れ気味の男子が多い中、女子はみんな元気だな。随分前に工房をやめてしまった人たちも訪ねてくる。版画の話をする。銅版画はそれなりの場所と時間がないとなかなか続けていくのは困難なので、やむを得ずやめてしまう人が多い。でも、今回の「モッズなオレ」という塩ビのシリーズなど、マイナスをプラスに転じるやり方がきっとあり、「仕方がないからこれで我慢する」ではなく「何を使っても自分だったらおもしろいものができる」と自信を持って頭を使ってみて欲しいと思う。一休さんみたいに、ウ〜〜〜〜ン、と唸って考えてみれば何かきっと良い方法が思いつくものだ。
 新刊本が売れるのは当たり前と思うが、「フード記」の方も結構売れていて共著の身としては嬉しや。この本は(版画のノリは微妙だけれど)、内容的には万人楽しめると思うので、男性も買ってくれるのが嬉しい。この日もおじさんが買っていった。
 この日は、終わってから銀座でも新橋よりのギャラリーバー・カジマにより、まさなりみゆき嬢の犬のしっぽの個展を見にいった。ここはグループ展&ライブをさせていただいたところだ。オヤジトークの客を横目で見つつ奥のギャラリースペースへ。みゆき嬢は日本犬のみと思っていたら、エアデールテリアとかスコッチとかもいて、「オーベーカ」の風が・・・・。立体はどんどんおもしろくなっているなあ。お面は彼女にほのかに似てた。ファーでできたいろんなしっぽが壁にくっついていてなんとも良くて見入ってしまった。実際に装着もできる。かなりじっくり見る。が、連日の疲れとほかにもドッと疲れるできごとが重なっていたので、目眩がしてしまい、ビールを飲んで彼女を待つつもりだったがあえなく撃沈。途中で大枚1000円のドリンク剤を腰に手をあてて飲んでしまった。


●クリケット・ティー
 6日目、たくさん寝たので復活。睡眠が特効薬だ。工房の堀内先生が来てくれた。サラッとできているようで非常〜に悩みの多かった作品『クリケット・ティー』について、しばし語り合う。クリケットは英国お国技で、映画でもよく見るけれど(「ブライアン・ジョーンズの伝記ものでは、彼は広い庭でやっていたね)、なんとなく知ってはいても、ルールは何度聞いても読んでも把握できない。しかし、どこかで「試合の途中20分程度のティータイムがある。」と読んだ時には、嬉しくてひっくり返りそうになり、ルールなんてどうでもよくなってしまったのだった。
 そうか、クリケットというのは、スポーツというよりは、スポーツを通しての普段の生活においてのエチケット、人とのコミュニケーションにその重点が置かれているのだな、とわかってしまったからだ。実際には公式試合ではこうゆうことはないらしいけれど、普通に楽しむゲームでは、イソイソと試合前からテント(タープ)とテーブルセッティングがとり行われる。緑の芝生の上で優雅にゲームをし、途中ダラダラとソーサー片手にミルクティーをすすり(ソーサーがついているところがイイね)、(パサついた甘いばっかりの)ケーキやスコーンや、細く切ったサンドイッチなどをつまむ。長くなるとランチもとるらしい。3日も続くゲームもあると読んだことがあるので、そうなるとディナーも?いや、これはないと思いますが。
 このシチュエーションが楽しいので、これを描こうと思ったのが写真にある版画です。

 これをとりあえず試刷りまでした所で、工房のS講師と堀内先生が別々に「よくこんな構図描いたわね」「なんでこうなってるんだろう」と口々に首をひねるのだった。わたしにとっては、これは、クリケットティを表現するために必要なすべての要素を描いたにすぎないので、一体どこに疑問があるのかサッパリわからないのだ。ギャラリーでさらに堀内先生は「なんでここに木があるのかしら・・・でもあなたには見えてるのね・・・なんでこんな遠くにこんなに人が・う〜んあなたには見えてるから描いてるだけなのだろうけどねえ」とブツブツつぶやく。
「きっとありえない構図なんでしょうね。見て描いたわけじゃないし。わたしは絵の教育はちゃんとは受けてないので、何が疑問なのかサッパリわからないんですけどね。」と言ったら、「それでいいのよ。その方がおもしろい。やたらと基礎にこだわる人がいるけれど、絵はそれだけではない」とおっしゃるのだった。わたしもそう思う。基礎を知っていることは大事だけれど、とらわれていては駄目だろう。
未だにどうして2人の先生がこの絵の構図について「不思議」というのかわたしには理解ができない。お客さんがいなくなると、ホッと椅子に座って遠くからじっくり眺めている。
 わたしにはテントの下の楽しいティータイムがあるだけだ。そのテーブルにのっているケーキの種類や、縞縞のコーニッシュウエアの沢山のカップ&ソーサーたちを見て、満足するばかりだ。

 今回のテーマに沿って、スコーンを何人かにいただいてしまった!しかも「ベノア」の。あの電車男で有名になった紅茶のベノアです。ホイルに包んでオーブントースターに入れてクロテッドクリームをつけていただきました。、紅茶はカメラマンの横山さんのロンドンみやげのものを。おいちぃ〜





◆2009年9月6日(sun) 飯島晃を聴く

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●音楽の話
 数日前、チューバの関島さんのところに行き、リコーダーを習う夢を見た。本当はりコーダーじゃなくてチューバを習いたかったのに、関島さんが「ハイ、これ」といって使い古しの小学生が使うようなベージュのものを当然のように渡すのだ。嫌だなぁ、リコーダーなんか、と思うが仕方なしにドーレーミー、と練習する。しかも、ほかの生徒さんが来たらほっとかれてしまい、むなしくドーレーミー。

 そんな夢を見た数日前に、ギャラリーにふらりと友人のともちがやってきた。なんとはなしの話をしていたらある再発盤のチラシを渡された。チラッと見た瞬間に「あ、きれい!ちょーだい」と思わず口に出るほど清々しくてモダンなデザインだった。これはPUFF UPというレーベルから出ていた8枚のアルバムのもので、vivid soundが再発したばかりなのだ。
http://www.vividsound.co.jp/search/result.php?cat=label&id=3
 ともちとは仕事関係なしに出会い、偶然音楽と美術の両方に共通の知り合いがいたというサプライズ。楽しい(アート寄り)ガールズトークの友達であるのに、実は仕事についてはほとんど知らなかった。いつも全然関係ないところで話していた。そうゆう関係の人はわたしには何人もいて、映画の話をしていてどうも近いものを感じるなあと思ったら、ある日、昔競演したことあったミュージシャンだったとか・・。よーするに人とのつきあいは、今魅力的かどうかが問題だから、過去のことを聞くことはほとんどないのだ。
 そんなわけでともちがきれいな制作をする人だということは知っていたけれど、このPUFFの8枚のアートワークすべてをやった人だということはまったく知らなかったのであり、改めてビックリ。チラシが一瞬見ただけで「きれいだ、欲しい」と思ったのは、そこに秩序ただしく並べられたCDジャケットがきれいだったからでもあったのだ。という話は前置きなのだが、わたしにとってはこういったつながりがちょっとトキメクことだったので書いておくことにした。
 最近音楽してないとはいえ、忘れたわけではないので、その再発話はどこからともなく知っていたし、できたら欲しいと思っていたものもあったのだが、積極的に触手が伸びるまでに至らなかったものなのだ。わたしの場合、この90年から92年(と書いてあったと思う)の8枚は、近いようで遠い存在だからというのが一つの理由だが、これはわたし個人の音楽生活に所以する事情。もうひとつの理由はどこに置いてあるのかわかりにくい、というのが具体的に触手が伸びない理由だ。これはハッキリしている。これらのことを考える時、わたし自身のことを含めてさまざまなジレンマを感じる。説明はかなり難しいが、書けるかなあ。
 と、いうことはひとまずは置いておいて、音楽のことを書こう。

 わたしは音楽を聞こうとする興味の範囲が全体的には非常に広い方だと思うのだが、好みの音はハッキリしていて、ピンポイントでしか聴く気になれない。多分頑固なんで食わず嫌いになっているわけだ。自分がエレキバンド好きだったということもあるけれど、そのほか現代音楽やフリージャズは聞いていたのに、このPUFFにあるような音楽はほとんど聞かなかった。

 で、このともちに貰ったチラシを眺めてみた。関島さんや向島さんや近藤さんは『Bronze & Willow』でお世話になったので存じ上げてる。エレキアヴァンギャルドバンドのわたしとはほとんどこうゆう方達と遭遇する機会はなかったし、接点もどうもなさそうだったし、まさかご一緒するとは思いもしなかった。清水一登さんはどこかで聞いた。テープでも聞いた。ほかに結構みなさんが知ってる人の名前があるのだけど(といってもウチの親が知ってるような人は一人もいないサ)、その中で飯島晃さんの名前だけが知ってたのかなんだったのかひっかかっていたのだった。絶対知ってるハズだ、でも思い出せない。解説に書いてあるように師匠のギタリスト高柳さんはまぁまぁ知っているのだから、きっとその関係で知っているのだろう、と思いながら、チラシを持ち帰る電車の中で「あ・・」と思い出した。それはフレッド・フリスのプロデュースのオムニバス版「Welcome to Dreamland」の中で、サボテンと同じ面(レコードです)に入っていた方なのだった。あれは、今思い返すといろんな人が入っていたんだなあ。オムニバスだから、別々に録音してるわけで、それぞれのバンドが会うということはないから、わからんちんのままなのだ。しかも食わず嫌いだからサ。どんなのだっただろう・・・・それも忘れてしまった。ノイズっぽかっただろうか。

 それからというもの、実はわたしはギャラリーではブリティッシュ・ロック(きょうはヤードバーズ・キンクス等々)を流しているくせに、家に帰ると飯島晃さんの『A MUSIC BOOK OF COMBO RAKIA'S/コンボ・ラキアスの音楽帖』を(飯島さんはアコースティック・ギター)流しているのだ。なんてこった。まるっきり違うじゃん。
 練り上げられたギター、サックス、ヴァイオリン・・・の音の粒が並ぶ。どのように作曲したのかなぁ。独自のシステム=法則があるようだ。現代音楽によくあるやり方で作ったのだろう。規則に忠実に組み合わされ成り立った音の粒というのは、秩序を作るハズなのに、実は不穏を感じさせるもので、 聞き流すわけにいかなくなる。物事と同じで、秩序を無理に保とうとするとそこには不自然なウネリができるのだ。でも、実はそのウネリというのが我々が生きている上での秩序にほかならず、普段から我々はズレまくったものを自然に受け入れて生きているのだ。だから、不穏ではあるけれど、突き放すことはできなくなるのだ。
 演奏大変そう。ライブでもやったのかなあ。楽譜みないでできるんだろうか?等々、エレキバンドの女は思うのだった。わたしが特に好きなのは『背広の男と象の庭/A Gentleman And Elephant Garden』だ。向島さんのヴァイオリンが品格があって良いのだ。ケージの曲を思い出すかなあ。または、ヨーロッパの迷路の庭を思い浮かべる。これをバックにヴァージニア・ウルフの「オーランドー」を読みたい。または小川洋子の小説かな。静かな、こうゆう曲が好きだ。
 さて、ずっとこれを聞いていて、不穏感がだんだん安心感になってきたので、vivid soundのサイトで、ほかの7枚すべての試聴をためそうと思った。弦楽器の渡辺等さんのアルバム『渡辺等とHililipom』の音がとても素敵。買うとしたらこれと、清水一登さんの「yet somehow・・・』(ピアノもいいけど、管中心らしき『Contrarily』がおもしろい。明るくて実に楽しげ)とCompostela『1の知らせ』だな、と思ったとです。

 前の話に戻りますが、前から気になっていたけれど、自分からなかなか捜そうとまではいかない場合だってある。だからといって罪はない。ほとんどの人がそんな感じだと思う。だから人目にできるだけ触れるように一生懸命宣伝するしかないのだろうけれど、それがなされない場合は、ミュージシャン自ら熱心に発信していくしかない。特にインディーズはそうゆうことになる。わたしの知ってる人たちも自分たちで一生懸命宣伝活動しています。しかし、それも死んでしまったらできない。わたしはまだ生きているので、わたしのアルバムや絵はとてもすばらしいです!と言えるけれど、死んでしまったら誰が言ってくれるのかって?
 そういえばきょう、「とても「B&W」気に入ってて、本を飾って眺めながらしょっちゅう聞いてます」と言ってくれる人がいたので、よかったです。2冊売れたし。二人の方に言われたのだけど、一人は「Eel Pie Island Song」のファンでした。この島に絶対行くと言っていた。影響力あるじゃないか!生きている内にこうゆう言葉が聞けて幸せです。
 わたしは飯島さんの知り合いでもなんでもない。でも、いいアルバムでした、と言っておきたい、と思った次第です。わたし1票投じます。実験的なアルバムだと思います。
 わたしの知ってるミュージシャンはみんなピュアな気持ちで曲を作り、演奏していると思う。何が一番ストレスかって、このピュアな気持ちに水をさされるのが一番ストレスになる。それでも続けている人たちはいっぱいいてエラいなあと思う。わたしはしょっちゅうくじけるのに。そのエラい人たちがみんな気持ちよく創作活動ができますように。わたしはミュージシャンの味方です。あまりこんなこと書くミュージシャンはいないと思いますが。くじけてるからじゃなくて、言った方がいいと思ったから、というだけ。

 個展最中にウクレレやってるという友人に遭遇。公園で練習してるらしい。渡辺等さんのを聞いていたら何かやりたくなってきた。わたしもレスポール型(8月にレスポールさんも亡くなってしまいましたね。すばらしい音楽家でしたね。ギタリストの端くれとして感謝したいと思います。あなたのおかげでどれだけ楽しい生活ができたかわかりましぇん。)のウクレレを公園に持参する予定です。






◆2009年9月3日(thu) 軍服を着てお待ちしています

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●わたしも制服を着ています。
 11日間これを着てます。 これは20年ほど前に「こんなのサトミにしか着れないからあげるわ」とデザイナーのおねえさんにいただいたフランスのブランド「サシャ」のもの。80年代らしい肩パットなんですが、いかしてるでしょ!捨てなくって良かった。この金ボタンの模様が、なんと英国歩兵のグレナディンという部隊のマークと同じ「手榴弾」だったので驚いてしまった。何故フランスの服に?と疑問に思うのですが、フランスでは、このマークは「外人部隊」に使われてるんですよ!わたしもあちらの方から見たら「外国人」ですからねえ。わたしは「外人部隊」なんです。帽子についているのはロンドンみやげの手榴弾のバッヂです。

 早くも個展三日目です。 いつも来てくださる方のほか、フロアが額売り場だということ、上の階でも展覧会があるということで、見知らぬお客さんもフラッと見ていってくれてお話が弾んだりして、充実しておりますです。 11時半くらいからだいたい詰めておりますので、ほとんどの方とお会いできるだろうな〜と思ってます。

 一日目は現在締め切りギリギリの仕事関係者の方とか(できるかしらドキドキ。きょうもこれからイラスト描かなくっちゃ)、そのコピーを書いているKさん。 Kさんにはトゲトゲの観葉植物をいただいたのだけど、これが「吹上げ」という名前になっていて、なーんかおかしい。ありがとござんした。Kさんはお茶にもくわしくって、わたしが描いた「クリケット・ティ」について、説明をしたら「おもしろい、おもしろい」と言ってくれたので、よかったよかった。クリケットは試合が長くなることが多く、たいてい途中で20分ほどのティータイムがあるんよねー。これがフェ〜、いかにもイギリス的〜〜、と思ったので、最後の最後に作品にしてみたのでした。雰囲気も結構出たかな?と思ってます。

きょうも、好きなモンを書く。
7inch


『We love 7inch』の一部



『モッズなオレ」シリーズの「VOXのギターアンプ」

●『We love 7inch』
 久々野田っちもハス付きの花を持ってきてくれて、しかも加藤彰さん(ロック画報編集長でしたね。その節はお世話になりました。来てくれてありがとー!)と一緒だったので感謝。いつもお花をありがとー! 最近のビートルズ旋風について話す。ちょうど「パストマスターズ」をかけていたのだけど、さすがにすぐにわかってしまった。版画作品の中に一つレコードをたくさん描いているものがある。わたしのお気に入りイケメンズとレコードを組み合わせた。「スー」「パイ」「デッカ」「チェス」「スタックス」「ロンドン」「アトランタ」「アイランド」「モータウン」等々、ポップな色で仕上げてます。

 二日目はイギリスからカメラマンの横山さんが来日してきていたので、今回の制服本の打ち上げを関係者だけでした。銀座の日本料理店のランチのコースで鴨なすや、ゴマ豆腐の揚げ出し。最後は鯛茶漬け。結構濃厚な味でおいしゅうございますた〜。出版社さまごちそうさまですた。横山さんはその昔ティナ・ターナーのお料理番をしていた経歴の舌の肥えた方なので、おいしいお店で食事できて幸せでござんした。そして横山さんと久々に楽しい話ができて嬉しかった。みんなでギャラリーに向かい、感想を言ってもらう。本はいい感じで売れてるらしいので、よかったですね。わたしの絵も売れるといいわね〜。横山さんが「フード記」の中から「ポテト男爵」を買ってくれた。ユーモアのわかる頼もしい方だわ。これでまた何年も会えそうにないので、ハグしてお別れするのでした。素敵な写真をありがとー。イケメンばっかです。
 たくさんお客さん、友人が来てくれて最後の最後に朝子ちゃんが来てくれたので、ゆっくりじっくり見たあとでこれまた久しぶりにちゃんとしたレストランでちゃんとしたワインを堪能。最近一緒にワインを飲む人がいなかったので、簡単なワインしか飲んでなかったから、ちゃんとしたグラスで飲むちゃんとしたワインがとってもおいしかったです。やっぱりちゃんとしたモン飲まなきゃ駄目だねー。(ちゃんとしたの意味は面倒なのでしない)ゆったりとした時間を過ごせて楽しかったです。ありがとー

 三日目のきょうは工房の元講師で美しいお花のリトグラフ作家の鈴木氏からスタート。今回は旧作は2点。その内の1点、雲の上を漂う男とも女ともつかない数名の浮遊した絵「on the clouds」を「いつもと違う突き抜けた気持ち良さを感じて良いねえ」と言ってもらえて嬉しかった。アートなものとイラスト的なものとの狭間で、一番理想的な融合を表せていると思っているし、ちょうど精神的に苦しんで制作していた昨年の、最後の1枚として、気持ちが浄化された頃に描けた絵なのだが、それが見る人にも伝わっているのだ、と思うと、絵の力を感じるし、わたしは絵を描いていて助かっている、と思ったりするのだ。たくさんの作品を作っているけれど、本当に満足できるものというのは数少ない。その内の一つです。

 「キヨシロに捧ぐ」も出すのは2度目ですが、これも立ち止まって感想を言ってくれる方は多い。ライティングが違うと随分違って見えるもので、工房展の時よりも明るい照明なので、細かな線の盛り上がりが見えて、伊東屋さんで出してよかった。ここは照明がとても明るいのです。

 工房の友人たちはいつも来てくれると心強い。そして、最近は新人の方が増え、そうゆう方たちが来るとたくさんの質問をうけるわけですが、それに答えるのも自らの勉強にもなって楽しい。技法の説明などしていると、随分いろんなことをしてきたんだなあ、と我ながら感心してしまう。みなさん、ジックリ見てくれてありがとー。
 イギリスの関係の方も楽しそうに見てくれていて、なかなか興味深かった。また何か新しい進展があるとおもしろいな、と思います。場所柄たくさん外国人が訪れますが、今のところなんのクレームもなくてホッ

●ビートルズじゃなくてラトルズを
 

  本が売れるのも嬉しいけど、「Bronze & Willow」が売れるのも勿論嬉しい。きのうもきょうも買っていただいたので、きょうはCDを流すことにした。そのあとは、ニール・イネスをかけて、最後は「ラトルズ」をかけた。やっぱしわたしはこの「ビートルズパロってるけどしっかりオリジナル〜」なバンドが大好きです。やってきた近所の画材屋(いつもお世話になっとります!)さんがすぐに「ラトルズ・・・・」と気がついてくれて嬉しや。ドライポイントの作品群「モッズなオレ」シリーズの中からcを買っていただいた。お目が高い!わたしのお気に入りなのよ〜

では、みなさまお待ちしております!わたしはあしたは11時半に伊東屋入りです。6時までいると思います。

 

 




伊東屋で個展中
伊勢丹でも作品展開催中






 


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