きょう、工房で、26日に来日するエミール・クストリッツアとノースモーキング・オーケストラの話になって、とても楽しかったので久々に日記を書くことにしました。こんな話をするのはOさん以外には工房にはいなくって、ロマ音楽話に加わっていたK氏も「そんなの誰も知らないよ」と、匙を投げるのでした。Oさんが「やっぱ、シンバルとチューバがなくっちゃねえ。松本さんも常にこの二つと一緒にやってくださいよぉ。なんなら向こうの人と組めば?」と言うので、自分の曲を思い描いて黙ってしまった。チューバはOKだけど、全曲シンバルというのは考えられない。好きだけど。あちらのヒゲ男と一緒というのは楽しそうだけど、雇える財力はないよ。ピン・ポイントな話しかしないのが楽しかった。あとは黙々と作業する。
ここ2ヶ月間に行ったところ・・・はほとんど忘れてしまったけれど、印象に残ったものを書く。
●古い知人の吉岡さんの個展「吉岡宣孝/汎風景」展(パノラマ写真/サウンドスケープ)、表参道トキアートスペース。静かに、でもしっかりと自らの存在を主張していて、その佇まいが美しいと思いました。人間は、そのように謙虚でなければいけないなあ、と思いました。
●円盤ジャンボリー(出演者でしたが、ほかのがおもしろかった)で見た紙芝居。語り口がセクシーでデカダンでよかった。身体に花が咲くという話はヴィアンの小説のようだと思ったけれど、わたしも胸が苦しくなると(紙芝居の中では快楽によって花が咲くのだけど)肺の中に花が咲き乱れているのではないかと思うことがあり、調度下絵でそんなものを描いていたので「あっ」と思った。倉知さんが出番前ににじり寄ってきて、実は最近初めて個展をやったものの、凄く大変だったと話すのだけど、あんだけギターがうまけりゃ個展なんかどうでもいいじゃないか、と思ってしまった。ジョン&小春も上都&船戸もしみじみよかった。岸野さんのは映像がパリ仕様で素敵だった。日本の昔の女優さんが半端じゃなく美しく、アヌーク・エーメみたいな人ばかりだった。しかし、一番よかったのはホライズン宅配便・・・だったか配達便だった。思わずCDを購入。
●「横尾忠則/冒険王」展。世田谷美術館。思えば、最初にイラストレーションを意識したのはこの人だった。時代時代でどれだけ影響を受けたかわからない。色指定というデザインの方法もこの人のを見て知ったような記憶がある。すばらしいのはやはりその筆力だろうと思う。こういった天才と比較しちゃいけないけれど、わたしと同じく妄想の具現化をやりつづけている人だと思う。わたしと違うのは、圧倒的筆力があるから、それで済まされているところだ。大きなキャンバスに次々と描かれる「あ〜〜〜〜ッ!!!」という意識の表現がリアルだ。喜怒哀楽の「あ〜〜〜〜ッ!!!」の表現があんだけ描けたら、もしかしたらわたしも他のことしないかもしれない、と思った。妄想の表現という点と、その線の美しさ潔さで好きなのは、横尾とピカビアとシュヴァンクマイエルだ。偏執狂的にキリキリと丹念に自分の見たい線を描き込む。見たい線なのだと思う。見える線と見たい線とは違うと思う。結局ヒトは見たいものしか見てないのではないか??と思ったりする。線が好きだ。横尾のこってりしたアクリル画からも美しい流れの線が見える。
●都内じゃないけど、三渓園。友人と3人でドライブ。写真がブログの方にupしてあります。http://eggdays.exblog.jp/m2008-05-01
本当に素敵なところでした。帰りは元町近くのギャラリーと、中華街での食事とガールズトーク。ユーミンじゃないけど、女友達はいいもんですよ。この日のキーワードは「農耕民族」と「禅問答』だった。
●「季節のしたく」展。ギャラリーFIRSTLIGHT。アクセサリーや洋服のグループ展に、帽子作家のかとうひろみさんが参加してたのでした。これについては、楽しい再会などあって、かとうさんのブログとギャラリーオーナーの水越さんのブログで読めます。偶然の再会で楽しかったです。帽子と靴が好きなので、いろいろ被って、これまた嬉しかった。
●「品川区中学生/音楽鑑賞会』五反田ゆうぽうと。神奈川フィル、指揮/現田茂夫、テノール/志田雄啓で。モーツアルト「フィガロの結婚序曲」、ベートーヴェン『運命』、ナポリ民謡』『オー・ソレ・ミオ』、マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』間奏曲、プッチーニ『トゥーランドットより誰も寝てはならぬ』、シベリウス「フィンランディア」、アンコールで「スターウォーズ』を。子どもの音楽の授業だけれど親も無料で行けるというので行って来た。オーケストラはなかなか普段見られないから嬉しい。『誰も寝てはならぬ』は例の荒川静香で有名になってしまったアレ。中学生が寝てしまわないようにキャッチーなものが多かったけれど、個人的には『カヴァレリア・ルスティカーナ』間奏曲が聞けたのがよかった。「フィンランディア」は、若い頃に、フィンランドのログハウスメーカーが晴海の見本市に出展した時に、映像に音楽をつける仕事をして、その関係で光栄なことに大使館主催の演奏会に招待してもらい、新宿厚生年金でフィンランドのF1レーサーと一緒に聞いた。地味だけれど、交響詩というだけあって、風景が見えてくるようでいい曲だと思った。知ってるお母さんは一人しか来てなかった。もったいない。五反田に、杏仁豆腐のおいしい店があり、そこにそのお母さんを誘って行った。プリンのように柔らかい杏仁豆腐で、ブルーベリーソースがかかっている。
●『オールドノリタケ』展。庭園美術館。
ノリタケとは『則武』と書く。則天武后を思い出してゾッとしてしまったが、関係ないことを祈る。地名也。陶磁器が好きだし、洋食器が好きだ。ノリタケのガーランド(という花の装飾模様がある)のついたオーソドクスなティーセットを持っている。アンティークではないけれど昭和な匂いがして好きだ。大正、昭和にかけて急激に完成度が高くなるのは、西洋料理の普及によるのだということがわかり、おもしろかった。当時の婦人雑誌や料理本も飾ってあり、現在よりももっと西洋の食生活の原風景が忍ばれるのでおもしろい。なんといっても、あの英国の『クリスマスプディング』が、普通に「クリスマスの食卓」として紹介されているのだ。文化は淘汰されて行くもので、そうなるとレベルは均等に上がるだろうけれども、コアなものが削ぎ落とされてつまらない、という事も言える。淘汰されたものを味わって訳知り顔でいる人よりも、バカにされながらも新しいものに手をつける人の方がやっぱりおもしろい。5月の砧公園と6月の庭園美術館と、どちらも庭がくつろげて好き。両日とも天気の良い日に行ったので、しばし休憩したりして植物を眺め、空を見た。
●『ナンシー関/消しゴム版画展』渋谷パルコ6F。週刊誌にずっと連載されていたテレビのコラムがおかしくて仕方なくて、ずっと読んでいた。行くまで知らなかったけれど、法政大学出身だったそうで、急に親近感が増してしまった。まったく惜しい人だった・・・・。現物はとてもきれいだった。部屋の様子もきれいで、わたしが思っていたような乱雑な感じとはほど遠いのでした。ごめんなさい。あのカッター使い、天才的であります。いつまでも文化財として保存されますように。わたしの前にナンシー関さんにそっくりな人がいて、親戚だろうか?と思ってチラチラ見ていたら、そこに名曲「メリージェ〜〜〜ン〜〜〜」の、あのドラマーTさんがやってきた。ご家族のようだった。ビックリ。ソックリ。ソックリ。ビックリ。ややこしやぁ。Tさんのお兄さんの漫画もわたしは好きだ。弟さんのリュートも好きだ(今も良く聞く)。兄弟全員好き。
来週は大岩オスカール展に行く予定。とある上映があって、それが見たいので、その上映日に行く。
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